プロローグ

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――時間というのものは、常に誰が何をしていようと勝手に一定の速さで進んでいて、それは誰にも覆す事は出来ない。遊んでいようが、寝ていようが、飯を食っていようが、死にそうになっていようが例外は無い。この世界にある全ての物は、それに縛られて、その時間の中で存在している。 時間をビデオのチャンネルのように早送りしたり、巻き戻しをする事はどうやっても不可能であり、一切のコンテニューの機会は訪れる事は無い。この世界は今生中継で流れているんだからな。そもそもチャンネルが無い。 もしそんなデタラメな事が出来る奴がいたとしたら、神か、めちゃめちゃ天才の年寄り博士か、はたまたずっと未来からタイムマシンに乗って来た未来人か。 まぁどれにしたって現実味の無い存在だが、いないという確定もないので、誰も何も言えないだろう。 少なくとも、俺は丸っきり信じちゃいないけどな。 そんな当たり前で馬鹿げた事を考えようとする一高校生はほぼ皆無であって(まぁ此処に一人いるんだが)、もしいたとしたらそいつは頭の中が小学生並か、漫画やテレビの見すぎか、それともただのイタイ奴なのか。 ただ…… ―――そんな事がもし出来たなら、それはどんなに夢のある話しだろう――― 「…何くだらない事を真面目に考えてんだ、俺は」 俺はそう小声で独り言を漏らし、そこで脳内で時間についての議論を述べるのを辞め、現実世界に戻って来た。
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