プロローグ

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周りを見てみると、そこは最近やっと慣れてきた教室で、俺は他のクラスメートと同じく机の椅子に座り、文字の羅列が書かれている黒板に向き合っている。 そして溜め息。 「あと20分か……」 何をしているのか、なんて事は言わなくても分かるだろうが、今は授業中だ。 科学なんか俺の将来には全く必要性が無いのに、なんで強制でこんな無駄で退屈な事をしてなきゃならないんだ。 俺には理系に進む程の頭脳はなく、進む気もないのに。 だが、この教師は妙に厳しく、居眠りなんかしてるとすぐに説教モードに切り替わるため、誰もこの教師の授業で寝る事は無い。 だが、だからといって俺はこんな授業に打ち込む気には全くなれず、黒板の方を見るフリをしてボーっとしながらさっきのような事をどうでもいい事を考えていた訳である。 楽しいことをしている時は時間が短く、嫌な事をしている時は長く感じるとはよく言う話だが、全くその通りだと思う。誰かこの時間を早送りしてくれる奴はいないのかね。 今年、俺は無事に高校生に昇格する事が出来、一ヶ月が過ぎた。地元から遠い学校にした為、知り合いが余りいない事やアパートでの一人暮らしに最初は苦労したが、最近では炊事洗濯にも人並み程度にはこなせるようになり、クラスにも馴染めてきて仲の良い友達も出来た。 部活には結局入りはしなかったが、まぁごく当たり前でありつつも、俺は結構充実した高校生ライフを送っていた。
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