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少し驚いていると、いずみが起き上がって俺の方に歩いてきたので俺も体を起こした。
いずみは、早足で歩いてきて俺の前にちょこん、と正座した。
「…いずみ、どうした?」
「…今日、さ、19日じゃん。」
「あ、うそ。」
「うそ、じゃないよ…。
海、誕生日じゃん。」
「そうだね。」
やべ、忘れてた。
別に自分の誕生日忘れてたわけじゃなくて。
今日が19日ってことを、忘れてた。
「それで、俺19日になった瞬間にあれやろう、とかこれやろう、とか考えてたんだよ。
なのに俺寝ちゃうし、海怒らせちゃうし…。
ほんと…ごめん。」
いずみは両膝に手を置いて頭を下げた。
「…なんだ、そんなことか。」
「そんなことって…。
俺、けっこう悩んだんだぞ!
…去年は、一緒にいれなかったから、その分、ちゃんと祝ってあげようって。
でもそれ台なしにしちゃった自分にすっげームカついたの!」
の!って…。
いずみがこんなに俺のこと考えてくれてたなんて全然思わなかった。
気を抜いたら顔面ゆるゆるになりそうで、真顔を保つのに必死だった。
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