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僕が五歳になる前の、1995年01月17日。
阪神大震災が起こった。
それが起きる前、僕は1つの夢を見ていた。
どこかの街で、ひどい揺れが起こり、やがて、炎に覆われるという、過酷な夢だった。
人は逃げ惑い、倒れた柱に潰されて死んでいく人、炎に焼かれて死んでいく人が映し出された。
はっと目覚めると、親に庇われていた。
大阪も揺れていたのだ。
ぐらぐらと揺れていた。
後からわかったけれど、死亡者6000人以上…
僕は予知夢を見る能力を持っていることに気づき、今も予知夢を見ている。
それだけではなく、死んでしまった人まで見えるようになっていた。
見えないものが見える度、彼らの心が僕の中に注がれた。
そのほとんどが、「死にたくない。」「生きていたかった。」…
生きることの執念だらけだった。
僕はただ聞いているだけだった。
すでに存在しないものをどうにかしようとしても、無駄だからだ。
そうこうしていくうちに、小学校に上がる頃には、“傍観者”となっていた。
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