雨が魅せるまぼろし

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ハァ イライラする。 この原因は… ザ―(雨の音) 雨、か! オレは突然降り出した雨を窓から眺めていた。 「あ~ 降ってきましたね」 八戒も窓を眺めてオレに話しかけてきた。 「雨が止むまで少しの間この街に留まることになりそうですね」 「そうだな」 オレ達の旅は急いではいるが、どちらかというとゆっくり進んでいる。雨でジープを働かせ過ぎるとダウンしてしまう。この調子でこのところ2ヶ月は同じ町に留まっている。 「三蔵 僕は宿主さんと悟浄と悟空に長期滞在を報告してきますね」 八戒はそういうと部屋を出て行った 雨か… オレは再び窓際に座って雨を眺めた。オレにとって雨はあの日の傷を抉るでしかない。 師の最後の日もこんなふうに雨が降っていた。
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