雨が魅せるまぼろし

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「お師匠様ありがとうございます」 オレは消え行くお師匠様を見送らずにそのまま背を向けて、声の聞こえる方へと歩いて行った。 「…ゾ …ゾゥ サンゾウ」 「なんだバカ猿か… そんなに呼ばなくても聞こえてる」 オレは心配そうに覗きこんでいる悟空に言葉をかけた。 「なんだよ、八戒がメシだっていうから呼びに来たのに、三蔵全然起きないし、なんかいつもと違うし、すっげ~心配したんだぞ」 「だからって呼びすぎだ! (つぶやきながら)…でも呼んでくれなかったら戻って来れなかったかもな」 「えっ なに?」 「なんでもねぇよ すまなかったな 心配かけて」 オレは悟空の頭にポンと手のひらをのせた。悟空は下を向いたまま「へへへ」と笑っていた。 「じゃ、先にメシ行ってるぜ」 「おい、悟空」 「なに?」 オレは部屋を出て行こうとしている悟空を呼びとめ、今まで聞きたかったことを聞いた。
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