雨が魅せるまぼろし

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「お前はオレに拾われて幸せだったか?」 「はぁ~、なにその結婚3年目になる夫婦が交わすよう質問は…! 三蔵なんか悪い物でも食ったのか?」 悟空はあっけにとられたような顔をして後ずさりをしていた。 「いや、その、お前はオレに拾われて一緒に旅するようになった。そして今まで何十何百と妖怪を倒してきたし、何回も危ない目に会っている。もし拾ったのがオレじゃなかったら、こんな生活にはならなかったんじゃ…」 「ちょっとまった」 オレが全部を言う前に言葉でさえぎられた。 「オレは別に、三蔵に拾われたからその恩とか、三仏神の命とかそんなので一緒にいるんじゃないし、確かにもしあのままあそこでずっといれば妖怪退治はしなくても良かったかもしれないけど、三蔵や悟浄、八戒たちと会えなかったらつまらなかったと思う。オレは自分の意志で一緒にいるし、このメンバーじゃなかったら一緒にいたいなんて思わなかったと思うし、うまく言えないけど、とにかく、オレはオレ自身のために旅をしてんだからそんなこと気にすることないんじゃねぇの。悟浄や八戒だってきっとそうだと思うぜ」 「そうか」 オレはこのことをずっと聞きたかった。本当は心のどこかで、巻き込んだことを申し訳ないと思っていたのかもしれない。 しかしこいつには愚問だったようだ。
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