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数分後、そこには頬を膨らませたエルフと何も考えていないような表情をした少年がいた。
「まったく……耳を掴むなんて馴れ馴れしいにも程があるぞ」
少年が耳を引っ張り続けた結果、あの長い耳は本物だということが判明した。
(こいつまさか……本物のエルフ……?……プッ、エルフって何?)
内心いろいろと考える少年。
そして、エルフという単語に笑ってみるものの、段々とその女性が得体の知れないものに見えてくる。
言葉は通じるものの、焚火に照らされ輝いて見えた剣と鎧はなぜか禍禍しく見え、コスプレ姉ちゃんと思っていた女性は悪魔のように見え始めた。
人間、初めて見るものには興味を示すが、それを越えると恐怖に囚われる。
まさに今の少年そのままである。
「おい、今度はどうした?」
エルフは少年の様子の変化に、ため息を吐きながら立ち上がる。
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