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「ば、馬鹿な……デッドハウンドだと……」
ツーデッドハウンド、少年が来て初めて見た魔物。
デッドハウンド、ツーデッドハウンドと同じ体格であるが、性格も違えば、首も一つである。
そして、その少年はというと、そのデッドハウンドに右肩を噛み付かれていた。
(私がデッドハウンドに敵うのか……?だが、見捨てるわけにはいかない!)
エルフは、白銀の鞘から月夜に照らされ輝く剣を解き放った。
「グルルル!!」
「グルルル、じゃねーよ……大丈夫、大丈夫だから……」
しかし、少年の会話が聞こえたエルフはピタリと足を止める。
そして、この状況に違和感を感じた。
確かに痛々しいほどに少年の肩からはおびただしい出血が確認できる。
だが、引き裂かれてはいない。
それがまずおかしい。
デッドハウンドの牙と爪は固い鎧を容易に引き裂くほど。
生身の体では言うまでもなく無惨な姿になることは間違いないはずだった。
そうなるはずだった──にも関わらず、少年は動く左手でデッドハウンドの頭を撫でている。
エルフは驚愕の表情を浮かべる。
しばらく彼女の身震いは止まることはなさそうだ。
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