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「ありがとうな」
また目を細め、頭を撫でる少年。
デッドハウンドにとって頭を撫でられるなど生まれてから一度もなかった。
それもそのはず、デッドハウンドは生まれた瞬間から独りになる。
母親は産んだ我が子を何もなかったかのように見捨てしまうからだ。
そんな子供が生きていけるわけもなく大半は僅かな生涯だけで幕を閉じる。
生き残るデッドハウンドはとても希少で、恐ろしく強い。
そんなデッドハウンドは、餌を求めた。
が、与えられたのは餌ではなく、優しさだった。
自分の前に立つものはすべて敵。
そうやって生きてきたデッドハウンドにとって、刃を向けられるのは慣れているが、こういうことは初めてだった。
どう対処していいかわからない。
ただ決して居心地は悪くない。
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