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エルフは急いだ様子も見せず、少年の後を追っていた。
その夜目の利く瞳で、草に垂れた血を目印にして。
(あれだけの傷だ。そう遠くへは行っていまい)
エルフの考えは間違っていない。
いくらもしない場所。
少年は木にもたれ掛かりながら座っていた。
その隣にはデッドハウンドもいる。
「……うわっまた来た……」
そして、少年はエルフの姿を見ると、嫌がる表情を見せた。
「なんだ助けに来てやったのにその言い草は」
本当は顔見て逃げられたので、追って来たとは言わない。
少年はエルフの言葉を鼻で笑った。
「……また寝て……目が覚めると家の中……助けはいらないよ」
少年の息遣いは荒く。
目を閉じている。
「ポチ……じゃあな」
そして、何かを言っているエルフを横目に、少年はデッドハウンドの頭を撫でると、意識を失った。
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