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少年が起きたことにに顔を綻ばせるエルフと、耳を立て少年をまじまじと見つめるデッドハウンド。
そして、あまり表情の良くない少年。
少年は無言のまま、エルフに近づく。
「ん?まだ気分が悪いのか?」
「…………耳……耳、一瞬でいいから触らせて?」
少年はエルフの質問には答えず、表情そのままに言った。
「な、なんだ!薮から棒に!」
耳を引っ張られた過去が頭をよぎったのか、顔をしかめる。
「お願い!一瞬だけ!」
しかし、少年の必死のお願いに気は乗らないものの、頷くエルフだった。
「絶対引っ張るなよ!絶対だぞ!」
「わかってる。大丈夫、大丈夫!」
そう言うと、エルフは少し顔を赤らめ目を閉じる。
そして、少年はエルフにまた一歩近づくと、
「…………きゃっ!ちょっと!いたたたたたた!」
耳を引っ張った。
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