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「……お前、何があったんだ?」
ようやく落ち着いた頃、少年は、その亡きがらに声をかける。
切り傷、刺し傷、火傷……様々な傷が、その犬に付けられていた。
「とんだご主人様だな……」
虐待を思い浮かべたのか、哀れむようにその犬に視線を向け、手を合わせる。
「どこの世界にもこんなのがあるんだな……せめて天国にいけますように」
少年は目を深く閉じる。
そして、しばらくすると目を開け、また、森の中を歩き出した。
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