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一向に話の進まない三人であったが、デッドハウンドの来ないラティーシャ宅に入ることができた。
「人間よ、ここに来た目的を言え」
長老は椅子に座りながら高圧的な声を出す。
「目的なんかないよ」
少年はため息をはきながら答えた。
目的はあるはずもない、ここに来たばかりなのだから。
「嘘をつくでない!!人間が姿を現すなど聞いたこともないわ!何か企んでいるのだろう!?」
「だから、そんなのないって」
「嘘をつくな――」
長老は何度も声を荒げた。
しかし、本当に何もない少年にとっては苛立ちを募らせるばかりである。
濡れ衣を着せられたかのような話は延々と続き少年の堪忍袋がついに切れた。
「カモォーーーン!!」
「バウッ!」
少年が叫ぶとデッドハウンドが出入口から顔を覗かせる。
「……ほらぁ!」
長老は半ベソかきながら何かあるからデッドハウンド呼んだんでしょ!とばかりに少年を責めた。
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