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そんな真剣な眼差しを向けられた長老は、困ったようにラティーシャの顔を見る。
真偽を決めかねているのだろう。
「……私は先程からこの人間が嘘をついているとは思えないんです……しかし、別の世界など……」
「そうなんじゃ。聞いたこともない」
長老は首を横に振る。
「オレだって寝て起きたら森にいたんだ!こんなとこ……!」
少年の悲痛な叫びは長老の中で迷っていた真偽を決めた。
「わかった……一先ず信じよう……村の皆とも話し合ってみるわい。ラティーシャよ、人間をもう一日ここに置いてやってもよいな?」
「……はい」
「人間よ、下手な真似は決してするなよ」
長老は少年を睨みつけると、家から出ていった。
「バウッ」
「うわぁあーー」
長老は一気に駆け抜けた。
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