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「……違う」
ラティーシャは拗ねて先を歩く少年に声をかける。
「何が?」
少年は立ち止まり、後ろを振り向く。
そこには俯きながら泣きそうになっているラティーシャがいた。
「エルフの恥――それは私のことで決してお前のことではない……実は私の両親は――」
「そんなに簡単なの?」
少年はラティーシャの言葉を止める。
「えっ?」
「そんな泣きそうで辛そうな話をオレにしていいの?」
「…………」
少年はまた黙るラティーシャに背を向けた。
(やばいって!今、親系の話聞いたらオレが泣いちゃう!)
女の子の前では泣きたくない。
思春期の少年の想いだった。
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