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「…………」
「…………」
二人はその後、終始無言であった。
少年は話を聞くことを拒み、エルフは話きっかけがないまま。
「……なあ」
ようやく口を開いたのは、ラティーシャへの家に続く森の入口に立ってからだった。
前を歩き草木を掻き分けるエルフに話し掛ける。
「なんで村があるのに家が森の中なんだ?」
「…………」
その質問にラティーシャは歩く速度を緩め、やがて足を止めた。
「……その話は聞きたくないんじゃないのか?」
質問を質問で返す。
「あっなんだ。そーゆー話か、ごめんなさい……んじゃあさ、あいつの名前考えよう」
前半は声のトーンが落ちるものの、少年は笑って話し掛ける。
「……あいつ?」
「そ。あいつ」
いつの間にか家までたどり着く二人。
そして、少年の指先にはおすわりしたデッドハウンドがいた。
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