旅立ちとエルフの敵

4/6
前へ
/59ページ
次へ
楽しい時間は過ぎ、少年の目の前にいるラティーシャの姿が隠れる時間になった。 「……もう寝る、か?」 ラティーシャは目が虚ろな少年に問いかける。 「……うーん……うん、寝よ」 少年はふらふらになりながらも、立ち上がる。 「……そう言えば名前を聞いてなかったな……最後に教えてくれないか?」 ぴくりと少年はラティーシャの言葉に反応する。 そして、ゆっくりと彼女に視線を移した。 「なんで最後とか言うかな!」 少年は明日、ここを旅立たなければならない。 すっかり落ち着いてはいたが、最後という言葉にそれを思いださされた。 「……ポポだよ」 少年はそう言うと、先日から使わせてもらっている部屋に入ろうとした。 「ポポ!待ってくれ!」 「ポポって誰だよ!」 「……お前だろ!!」 なぜ少年が偽名を使ったのかはわからない。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2217人が本棚に入れています
本棚に追加