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楽しい時間は過ぎ、少年の目の前にいるラティーシャの姿が隠れる時間になった。
「……もう寝る、か?」
ラティーシャは目が虚ろな少年に問いかける。
「……うーん……うん、寝よ」
少年はふらふらになりながらも、立ち上がる。
「……そう言えば名前を聞いてなかったな……最後に教えてくれないか?」
ぴくりと少年はラティーシャの言葉に反応する。
そして、ゆっくりと彼女に視線を移した。
「なんで最後とか言うかな!」
少年は明日、ここを旅立たなければならない。
すっかり落ち着いてはいたが、最後という言葉にそれを思いださされた。
「……ポポだよ」
少年はそう言うと、先日から使わせてもらっている部屋に入ろうとした。
「ポポ!待ってくれ!」
「ポポって誰だよ!」
「……お前だろ!!」
なぜ少年が偽名を使ったのかはわからない。
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