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翌朝、家の前に立ち、向き合う二人がいた。
「……気をつけてな……」
ラティーシャはそう言うと俯いた。
朝から少年は元気がなく、明るい声などかけれるわけがなかった。
「……うん」
少年はデッドバウンドと歩き出す。
草を踏む音が、ニ、三度。
「……あのさ、最後にお願い事聞いてくれない?」
少年は背を向けたまま問う。
「……なんだ?」
「最後だから、さ……叶えてくれると嬉しい、かな」
ラティーシャは一度、少年へと足を踏み出す。
どうせ、耳を触らせろ、の類いだと思ったからだ。
「わかった」
少年は振り向く。
満面の笑みを浮かべた少年がいた。
「一緒に来て」
「は?」
世界は輝いていた。
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