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「うふ……うふふ……」
少年は、不気味に笑い、首筋に当てられた剣をするりと避けると、立て膝の状態から両手を地につける。
「お、おい……いきなりなんだ……?」
なぜか挫折状態に突入した少年に、その女性は声をかけた。
「今……なんて言った……?うふふ……」
背を向けながら話す少年からはどんよりとしたオーラが漂ってくる。
脅しかけた相手からのこんな反応は、初めてのようで女性は少年の言葉を素直に聞き入れるしかできない。
「いや……どうしたんだ?と聞いたのだが……」
「その前!!」
「あの、人間かどうか聞きました……」
やたら迫力のある少年に、女性は最終的に敬語になった。
「それ!!」
少年は、ちらりと女性の方を見る。
少年のその黒の瞳には涙が溜まっていた。
「すごく……傷ついた……」
まさに波乱の予感である。
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