2217人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
「それにしても私は人間を初めて見るぞ!」
エルフは少し興奮したように少年の顔をまじまじと眺めている。
しかし、少年は、
(オレも森の中でコスプレする人初めて見ました)
と、毒づいていた。
人間を初めて見た、ということに関しては、ここまでエルフに成り切る人も初めてだ、と。
「まあ、いいか。今は停戦期間だからいいが、エンドレスウォーはいつ、どんなきっかけでまた始まるかわからない……とにかくここは安全ではない。早く帰ることだ」
エルフは少年から少し顔を離すと、また切り株へ歩き、腰を降ろした。
「……エンドレスウォーって何?」
少年は、気になる単語をそのままエルフに聞く。
エルフは焚火から少年に哀れみのような視線を移した。
「人間は脱落種だからな……知らなくても不思議ではないが……」
最初のコメントを投稿しよう!