おまけ③~ロク

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俺は、桃子の手を取ると、家に向かって歩き出した。 ここで、悩んでいても仕方がない。 なるように、なれだ。 桃子の願いも、 俺の譲れない想いも、 どっちも叶える方法は、絶対あるはずだ。 突然で、驚かすかもしれないし、 急になに言うんだって、 突っ返されるかもしれない。 こんな時間に、非常識なのも、わかってる。 だけど。 桃子のために、少しぐらい、俺らしくないことをしたっていいんじゃないか。 そう思った。 今朝、義母の気持ちは聞いた。 たぶん、他の3人も、俺と桃子の関係を、快く受け入れてくれるだろう。 だから、これは、俺の儀式みたいなものだ。 俺が、そうしないといられないだけ。 「どうして、私の家に入るの?」 桃子の家の門を、先に潜る俺に、 桃子が戸惑いながら聞いてくる。 桃子の家の玄関前の外灯が灯り、桃子の不安げな表情が浮かび上がる。 ―言うんだよ。 「ママとパパに、何か話があるの?」 一層不安そうに、桃子が眉を潜める。 ―桃子を、俺に下さいって、お願いしたいんだよ。 俺は勢いをつけて言ってしまってから、ハッとする。 桃子が、口を薄く空け、 呆気にとられたといった表情で、俺を見上げている。 「も、もう一回、言って。」 桃子が目を見開いたまま、俺の両腕を掴んだ。 「ね?もう一回…。」 ―だから…。 俺は大きく息を吸い込み、 それから一気に言った。
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