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兄貴が帰ってきたのは、日曜の晩御飯の直前だった。
居間でテレビを見ていた俺は、着替えに二階へ上がっていく兄貴の足音を黙って聞いていた。
「そうそう、今日ね。スーパーで偶然、紗代ちゃんにあったのよぉ。」
ん?紗代ちゃん・・って・・
兄貴の元家庭教師で・・
元彼女の紗代子さん?!
俺は顔を強ばらせ、バレないようにちらりと兄貴を見た。
兄貴の表情には特に変化はなく、普通にこう言った。
「それなら、俺も昨日美華に会ったよ。」
美華って、兄貴の同級生で紗代子さんの妹?!
てか、昨日は坂井と会ってたんじゃなかったのかよ?!
美華さんと会ってたのか・・
えっ?えっ??
一人パニックになりつつ、それでも回りにバレないように震える手で箸を動かした。
「あら、そうなの?
でね、紗代ちゃんが携帯トイレに流しちゃって、
あんたの連絡先わかんないっていうから、赤外線で教えといてあげたわよぉ~」
そう言って母さんはにっこり笑った。
その言葉に、俺は思わず、口の中のものを吹き出しそうになった。
教えといてあげた?!
な、何やってんだよ!母さん💦💦
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