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「嫌いになったんやない。ただ京くんを幸せにするんは、俺と違うんや。」 そう言って俺の部屋から出て行った。 話を切り出された時は、意外と冷静で、前に出た別れ話の時は泣いて泣いて駄々捏ねたのに。 自分にも少なからずの非があったし、また真剣に話す今の彼に何を言っても、意思は変わらないんだろうとさえ思えた。 久しぶりに二人で会えると思って浮かれてた自分が酷く憐れだ。 独り残された部屋は、梅雨が明けたというのに、どこかひんやりしていた。 不思議と涙は出なかった。 が、誰か側に居て欲しくて自分でも何しだすかわからない。 気が付けば、ガラに電話していた。 一通り話し終えても、何故か涙は流れない。実感さえ湧かず、また明日にでもメールが来て、いつも通りの生活が待っているようにさえ思えた。 実感したのは、やっぱり好きだという気持ちだけ… 「京さん、無理なさらないで下さい。」 落ち着いた中に心配しているのが伺えるガラの声色。 ガラの気持ちを考えたら、こんな話はすべきではなかったのかもしれない。 外は降っていた雨が止んでいた。俺の気持ちとは反比例して。 その日は電話を切って、心夜にメールで報告して寝た。 起きたら、メールと着信が沢山あってそれは全て心夜とガラからだった。 タバコに火を付け、自己嫌悪に嵌まる。 また、俺は人に心配かけて迷惑な奴だ… あいつが愛想尽きたのだって、俺の行き過ぎた我が儘。 何を言っても許されると思ってたから。そんな訳、ないのに。今まで、我慢させてたのか。 これからだって仕事で顔合わせるのに。どの面下げて行けばいいのか。 .
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