第二章

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  「雷鳥。雷属性の使い魔ですね。基本的な攻撃方法はその硬い嘴を突き刺し更に高圧電流を流し込む…でしたか。使い魔としてのランクはCと高めですが、その大きさではまだ子供でしょうね」 翼を傷つけられ無様に地に落ちた鳥、雷鳥を視界の端に捉えつつ海斗は以前読んだ本の内容を口に出す。 「っ……」 「どうなさいました?顔色が悪いようですけれど」 クスリと笑って言う海斗は確信犯なのだろう。 学生のレベルを越えた海斗と学生が対峙して、恐怖を抱かない筈がない。 その場から動かず何も言わないヴァースを気にした様子も無く、海斗は槍を持つ手を前に出す。 体を強張らせたヴァースだが、海斗は攻撃をしようとした訳ではなかった。 槍が淡い黄緑の光を放ったかと思えば光と共に槍までもがその場から消える。 替わりに海斗の手にあるのは一つのブレスレット。 「これが私の魔具、ですよ」 「馬鹿な……そんな魔具があるなんて……」 「私も最初は驚きました。ですが……意外と使いやすいですよ、これ」 海斗が笑う。 「光弓・聖(コウキュウ・ヒジリ)」 再びブレスレットの形が変わる。 だが海斗の手にあるのは槍ではなく、純白の弓。 「複数の属性と形を持つのが私の魔具の特徴です。今は風属性の槍と光属性の弓しか御座いませんけれどね」 わざわざ解説する海斗の声など聞こえないかのようにヴァースは動きを止めている。 魔具とは使い手に適する武器の形になる。 適する武器が複数あるなど、世界中で探してもそういる事では無い。 「さて、そろそろ終わりに致しましょうか」  
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