第二章

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  「だって、村上よ?アンタがそんな小難しいこと知ってるだなんて誰も思わないわよ」 「んだと!? 俺が知ってちゃ可笑しいってのかよ!!」 「誰もそんなこと言ってないじゃないのよ!! 意外だったって言ってるだけでしょ!!」 「どっちも似たようなもんじゃねぇかっ!!」 近距離で怒鳴り合う二人。 海斗とルリは二人から少々離れた。 「御二人はいつもこのような様子なのですか?」 「あ、驚くよね……うん、いつもこんな感じだよ。どうしてこんなに仲が悪いのかなぁ……?」 困ったように眉を垂らすルリだが、海斗からは二人の仲が悪いというようには見えなかった。 「(仲が悪い、と申しますか……じゃれ合っているようにしか見えませんね)」 しばらくは二人の言い合いが終わらないかと待っていた海斗だが、中々終わりそうにない。 むしろ更にヒートアップしているように思えた。 「……ルリさん」 「え、あ、なに?」 「今日の授業はもう無かったはずですよね?」 「うん、そうだけど……」 ルリの返答を聞いて、海斗が村上と理恵の二人に背を向けた。 「あ、か、海斗君!?」 「一足先に寮に戻らせていただきますよ。荷物の整理もしたいですしね。また明日、お会い致しましょう」 半身だけ振り返ってそう言うと、海斗は振り返ることもなく闘技場から出て行った。 残されたのは言い合いを続ける村上と理恵、そしておろおろとするルリのみ。 「ど、どうしよう……」 困惑したルリの声を聞く者はいない。  
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