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「だって、村上よ?アンタがそんな小難しいこと知ってるだなんて誰も思わないわよ」
「んだと!? 俺が知ってちゃ可笑しいってのかよ!!」
「誰もそんなこと言ってないじゃないのよ!! 意外だったって言ってるだけでしょ!!」
「どっちも似たようなもんじゃねぇかっ!!」
近距離で怒鳴り合う二人。
海斗とルリは二人から少々離れた。
「御二人はいつもこのような様子なのですか?」
「あ、驚くよね……うん、いつもこんな感じだよ。どうしてこんなに仲が悪いのかなぁ……?」
困ったように眉を垂らすルリだが、海斗からは二人の仲が悪いというようには見えなかった。
「(仲が悪い、と申しますか……じゃれ合っているようにしか見えませんね)」
しばらくは二人の言い合いが終わらないかと待っていた海斗だが、中々終わりそうにない。
むしろ更にヒートアップしているように思えた。
「……ルリさん」
「え、あ、なに?」
「今日の授業はもう無かったはずですよね?」
「うん、そうだけど……」
ルリの返答を聞いて、海斗が村上と理恵の二人に背を向けた。
「あ、か、海斗君!?」
「一足先に寮に戻らせていただきますよ。荷物の整理もしたいですしね。また明日、お会い致しましょう」
半身だけ振り返ってそう言うと、海斗は振り返ることもなく闘技場から出て行った。
残されたのは言い合いを続ける村上と理恵、そしておろおろとするルリのみ。
「ど、どうしよう……」
困惑したルリの声を聞く者はいない。
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