黒澤健一(17)

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なぜ気晴らしをしなければいけないかというと何があったわけでもなくて、なんとなくモヤモヤしたから。 そんなわけで今僕は散歩してる。 大学受験を控えた高校生の夏というのはそういうものだと思う。 政治家は自分より偉い政治家の足をひっぱって、解散というものに追いやって、新体制を作り直すという作業を、つまり政策がなかなか進まずに、リセットされ、また初めからやりなおしという作業を僕が意識するずっと前から繰り返してるらしい。 政治家からしたら自分のポジションを確保するためにそのポジションに今いる人間をどかそうとするのは当たり前だ。 だって政治家とは職業だから。 職業とは収入を得るための手段だから。そのために都合のいい行動をとるのは当然のことだ。 でもそれで被害を受けるはずの民間人であるマスメディアや世論はどうしてそれを促しているのだろう。 まるで政治家の仕事は政治ではなくポジション争いだということを誰もが当然のように肯定し、促しているように思える。 借金大国である今の日本に、ちょっと気にくわないからって再選挙やらなんやらでいちいち政策をリセットしている時間はあるのか? 最初から失敗まみれの日本だ。 ちょっとした失敗を怖れて、正格には怖れるふりをして行動する人間の足をひっぱってリセットを繰り返すよりもとりあえずやらしといて成功に望みをかける方がずっと建設的だ。 道で拡声器を持って「漢字も読めないやつに首相が務まるか」と声を荒げているおっさんを見てそう思った。 みんなもっと大切な問題から目をそらしすぎだ。 そらされてるのにも気づいていない。 時間の無駄使いが税金の無駄使いに繋がることになぜ気づかないんだ? こんなんじゃ日本の借金は膨れ上がる一方で、まやかしの金融体制はいずれ崩壊する。 今にも沈みそうな穴の開いた船を前にただああじゃないこうじゃない罵り合いをしているよりも、突貫工事だろうがとりあえず穴を塞ぐのが先決じゃないか? 水が漏れたらまた塞げばいい。 ま、政治や社会は船じゃない。 大人には大人の事情があるんだろう。
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