バカンスへ

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そろそろ都心部は暑くなってくる5月半ばだった。 S大学祭実行委員会の幹部である6人は毎年恒例の幹部合宿に来ていた。 毎年恒例ではあるが、4年生だけで行われるので、本人達が体験するのは初めてである。 あくまで合宿とは名目で、実際は予算を使ってのリゾート満喫旅行みたいなものだ。 就職活動中のほんの息抜きを、予算から捻出できるという『伝統』から毎年行われていた。 宿を押さえるのは企画部長である天野の役割だった。 これも『伝統』で決まっている。 それを知って他の5人は不安を隠せなかった。 なぜなら天野は常に嘘をつき、約束を守れないどうしようもないルーズな男だからだ。
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