バカンスへ

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F県の田舎駅『高戸』に着いたのは昼の2時を回っていた。 暑くなってきた都会より涼しくて気持ちの良い気候だ。 駅にはペンション『桜樹(オージュ)』の主人である明石敏雄がすでにマイクロバスで迎えに来ていた。 明石はよく日焼けした人懐っこい丸顔で6人を歓迎する。 最寄り駅からペンションまでバスで30分程で、その間ほとんど信号はなかった。 車中、『桜樹』は海に面した崖の中腹に建っており、景色は抜群だと明石は語っていた。 それを聞いて亜紀子も胸を撫で下ろす。 「崖の下の海岸も敷地になっていてね、もう少し暑い季節だとプライベートビーチとして使えるんだよ」 明石は陽気に説明した。
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