松山の奮闘

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「天野君が目を覚まして階下に降りたのが40分から45分です。つまり猪狩君には10分から15分あります」 一同の視線が猪狩に注がれる。 「おれは殺したりしない……」 猪狩は目を見開き首を横に振りつつ、周りを見回し訴えた。 吉井がソファーから立ち上がり猪狩に近づく。 「もし私が猪狩君の立場にいて沙保さんを殺害するなら、ノックで確認するような手間をかけず、やはり沙保さんが庭に出てすぐに決行するでしょうね」 一同の視線は訝しげに松山に戻った。 吉井は吸えもしないタバコを手で持て余している。 「ノックで天野君が起きればチャンスを逃しますし、天野君が起きなくても他の方が起きてしまうリスクを背負います。現に真樹さんはノックの音を聞いている」
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