987人が本棚に入れています
本棚に追加
「天野君が目を覚まして階下に降りたのが40分から45分です。つまり猪狩君には10分から15分あります」
一同の視線が猪狩に注がれる。
「おれは殺したりしない……」
猪狩は目を見開き首を横に振りつつ、周りを見回し訴えた。
吉井がソファーから立ち上がり猪狩に近づく。
「もし私が猪狩君の立場にいて沙保さんを殺害するなら、ノックで確認するような手間をかけず、やはり沙保さんが庭に出てすぐに決行するでしょうね」
一同の視線は訝しげに松山に戻った。
吉井は吸えもしないタバコを手で持て余している。
「ノックで天野君が起きればチャンスを逃しますし、天野君が起きなくても他の方が起きてしまうリスクを背負います。現に真樹さんはノックの音を聞いている」
最初のコメントを投稿しよう!