プロローグ

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―2010年7月16日 10:15― 大阪 東八雲(ひがしやくも)高等学校体育館内 全学年の全クラスが舞台を正面に、出席番号順にずらりと一列に並んでいる。 「――――と言うわけで三年生の皆さんはこれからの――――」 その中にもうかれこれ10分間になるだろうか。 校長の低い声が響く。 ほとんどの生徒がうつむいていて、前を向いて聞いている奴なんて数える程しかいない。 外で蝉が嘲笑うかの様に鳴いている。 暑い。喋る気が失せるぐらい、とにかく暑い……。 暑さに加えてこの、湿度。ねっとりとした汗が湧き出て、シャツが俺の体に貼りつく。 今日は一学期の終業式。 普段より遅い登校時間のため今の時刻にあたる。 明日から夏休みで学校は休みだ。 世間では勉強、仕事……それらの縛りから一時的に解放されるため喜ばれる時でもある。 でも…… 俺は夏休みは嫌いだ。 宿題が多いとか言うわけではない。 最初から嫌いだった訳でもない。
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