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そうこうしている間も長々と続いた終業式も、ついにクライマックスに近づいてきた。
(よし!やっと終わるぜ!
それより俺を捕まえて、仕返しする気満々の祐司から逃げねえとな…。
でも祐司は運動音痴だから楽勝だな。)
司会の教師がこの学校の、お決まりの終わりの言葉を話し出した。
「ではこれで終業式を終了します。
他に先生方で連絡のあられる方はおられますか?―――――――」
終わる前に練習を聞かないのが、よく分からないが……。
「――――では無いようなので解散したいと思います。
じゃあ3年から順に解散するから、3年は体育館の後ろの扉から退場してー。1、2年は待機やぞー。」
その言葉が終わった瞬間に、生徒達が一斉に騒ぎだしたので、蝉の声が遮られた。
そして3年はぞろぞろと退場していく。
(今だっ!)
俺は華麗なサイドステップで横に逃れ、他の組の奴らの人ごみに紛れ込む。
(ふっ。祐司め…何が『覚えとけよ』だ。
ちょろいもんだぜ!)
そう思い、一呼吸おいて歩こうとした瞬間、首の後ろの襟を誰かに捕まれ後ろに引き寄せられた。
そのせいで首が締まり、
「げふぉ!」
というマヌケな声で嘔吐(えず)いてしまった。
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