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「うっ…!!」
「図星ね……。あんたの行動って、本当ッに分かりやすいわね。」
「腐れ縁だからだろ。」
幼少期から今まで明日香が俺に、与えてきた仕打ちなんて人間にするようなものではない。
そのせいでどれ程のトラウマか出来たことか。
酷いのであれば、毛虫食えとか、スカートめくりしてこいとか……。
その後どうなったかなんて言うまでもない。
「まっとりあえず♪」
《ガシッ》
明日香は再び俺の襟首を掴んだ。
「へっ!?」
「とりあえずあんたをいたぶってから、祐司にひきわてすか……。ねぇ♪瑞希♪存在は消さないからいいよねっ!?♪」
「うん……涼の……存在消さないなら……何しても……いぃょ……。」
「え゛!?いたぶるのはいいの!?」
「涼。とりあえず祐司を探しなさい♪」
「拒否権は……。」
《ニコッ》
明日香のさらなる怒りの微笑みが、俺に対して深海一万メートル並みの圧力をかけている。
(さらばだ地球上のみんな。僕は今からここでお星さまになるんだ。)
「喜んでやらせていただきますッ!」
(言っちゃった☆)
「よろしい♪じゃあとっとと、慧眼(『けいがん』)を使いなさいよ。」
「はい……。明日香様……。」
自分の感覚を研ぎ澄ませる。
すると祐司の輪郭が、左の前方の列の隙間からハッキリと見えた。
ちなみに扉は舞台を背にして右の方にある。
「扉に向かって真っ直ぐ歩いたら、ちょうど扉の手前で鉢合わせするよ。」
「じゃあ行こっか♪」
そうして明日香に襟首を掴まれたまま、扉の方に引っ張って行かれた。
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