プロローグ

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俺の予想通り、扉の手前で鉢合わせした。 「あっ!明日香と瑞希じゃん! おはよー。 おっ!逃走したはずの涼もいる……。」 そう言って不適な笑みを浮かべた。 「おはょ。」 「おはよー♪」 「一緒にいたぶっちゃう!?♪」 「もち!」 「待て!冷静になるんだ!」 「とりあえず俺から…。じゃ、膝カックンの仕返しの……。」 俺の言葉を聞く耳をお持ちでないらしい。 そう言いながら祐司はニタニタしている。 ……正直かなり不気味なのだが。 とりあえず覚悟を決め、目をつぶろうとした瞬間、 慧眼を使ったままだったので、ふと祐司の制服ズボンが目に留まった。 茶色い物体がズボンから溢れている。 それに加え、なぜか甘ったるい臭いがしてきた。 「祐司ちょっと待て。その前に、お前のポケットからはみ出てる茶色い物体は何だ? しかもなぜか甘い臭いもするぞ……。」 「あっ!しまった!今朝買った、食べかけのミルクチョコレートだっ!」 ここら辺がぬけている。 「祐司……どじぃ。」 「もはやう〇こみたいだよ♪ 早く洗ってきたら?」 「お前らさぁ……まず何でポケットに食べかけのチョコレートを入れるとか、買ってから全部食べないとかを突っ込めよ……。突っ込む所がだいぶずれてるぞ。 それに明日香……お前は女だろ…お下品な言葉はNGだろ。」 「じゃあ俺、ズボン洗ってくるから先に教室に戻っといて。」 「分かった。」 祐司は小走りで、体育館から出て、トイレに向かった。 「明日香……とりあえず苦しいし、恥ずかしいから襟首放してくれ。」 俺が襟首を掴まれている光景を、回りの生徒がチラチラ見ている。 「ちっ!仕方ない。じゃあ私たちもクラスに帰るわ。行こ瑞希♪ とりあえず命拾いしたわね♪」 そう言って俺の襟首からやっと手を放した。 「帰るって……言っても……涼と祐司は……隣の……クラスぅ。」 「そうだねー♪ あっそうだ!今日ミーティングやるからいつもの部屋に、HRが終わったら祐司と一緒に来てね♪」 「何すんの?」 「ヒ・ミ・ツ。じゃ、また後でね~~♪」 そう言い扉を出て自分の教室に向かった。
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