紅茶の魔法

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始まりは突然だった 『恋がしたい』 というのが口癖になりつつあるあたし そんなあたしは 友達に 合コンとか誘われるけれど そんな出会いはまっぴらごめんだから 何かと理由をつけて断る 今日は お弁当を持ってくるのを忘れたから お昼休みになってからすぐに 学校の購買へと走った だが 昼休み開始直後の購買は まるで戦場 人混みが嫌いなあたしは 少し人が減るまで外で待つことにした 『寒いぃ……』 季節は冬に変わり 何もしていないとだんだん手がかじかんでくる 待っている間に温かい飲み物を飲もうと思い 財布から小銭を取り出し 自動販売機にお金を入れて 何を飲もうかと迷う 幸い購買は混んでいるものの 自動販売機は混んではいなかった (これにしよう) と思い選んだのは 甘い紅茶 『次待っているんだけど』 紅茶を取り出して 自分の好きなものを買えてほっと一息をついていたら 後ろから声をかけられた 『ごめんなさい…』 と言って後ろを振り向くと メガネをかけた いかにも頭の良さそうな男の人が立っていたその人はあたしが持っている紅茶を見て 『よくそんな甘いものが飲めるね』 と一言いって 自動販売機にお金を入れて飲み物を買う 見知らぬ人に声をかけられたあたしは 驚いてただその場に立っていた 買った飲み物を取り出した彼は 立ったままのあたしに 『俺ならこっち』 と砂糖が入っていない ストレートの紅茶をあたしに見せ そして笑った (ドキン…) 不覚にもその笑顔にときめいてしまう そしてなにも言わないあたしに 『またね激甘チャン』 とあたしの耳元でいうと 彼は歩き出した (恋に落ちてしまった そして一目惚れ) 『待ってくださいっ』 歩き出した彼の背中に声をかける 『何?』 彼は立ち止まり 不思議そうに振り返る 何も考えずに声をかけてしまったあたしは思わず 『名前は?』 と聞いてしまった 彼は一瞬驚いた顔をして 『真崎真弥』 と名乗った そして 『激甘ちゃんは?』 と今度はあたしの名前を聞いてくる 『…天音です』 消えそうな声でそう伝えると 『名前まで甘そうだね』 と言って笑うと また歩き出した 『…真弥……』 あたしは たった今恋に落ちた人の名前を呟くと 甘い甘い紅茶を飲んだ。 (紅茶が呼んだ恋) *************** すみませんっ(>_<) 紅茶を飲んでいたら突発的に書きたくなって…… 最後で読んでいただきありがとうございました(ノ_・。)
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