逃走

13/25
前へ
/274ページ
次へ
「今、助けるから」 鋭二を無理やり、抱き締めた。 ガチャッ。 「!」 何かが鋭二を繋ぎ止めている。 手首の方に目をやると… 『…手錠…?』 鋭二の手首が手錠に繋がれていた。 しかも窓にがっちりと… 「な、なにこれ!?なんでこんなのが…」 鋭二はうつむきながら唇を噛んでいた。 「だから一人で行けって言ってんだよ!!」 ドンッ。繋がれていない方の腕でトイレの扉を殴った。 「逃げたくても逃げれねんだよ…。」 ニコッ、鋭二は自嘲の笑みを浮かべた…。 そんな… そんな… せっかくここまで来たのに… ドンッ! 私は掃除用具で手錠を外しにかかった。 「何してんだよ!?」 「見てわかんないの!?外すのよ!!」 「はあ!?無理に決まってんだろ、早く行けよ!」 「無理じゃないよ!」 …無理じゃない。 鋭二は私が助けるんだ…。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3554人が本棚に入れています
本棚に追加