逃走

15/25
前へ
/274ページ
次へ
気が遠くなる。 目がイカれる。 私は今、本当に気力だけで立っている。 「……、」 鋭二はもう何も言うことが出来ずに泣いている。 泣かないでよもう……。 助けるって言ってるのになあ……。 やっぱり私のことなんか、もう信じられないかあ……。 カシャン……。 掃除用具が手から滑り落ちた。 身体が痙攣している。 「あ……麻」 「……大丈夫」 再び拾い上げるも、 もう握りしめられなかった。 「大丈夫、大丈夫だから」 …私は再び床に落ちた。 「はぁ……はぁ……」 鋭二はゆっくり私を抱き上げる。 「麻……」 「鋭二……ごめんね。 私嘘つきだ。」
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3554人が本棚に入れています
本棚に追加