逃走

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カチャ。 ひんやりとした手が、鋭二の頬に触れる。 同時に手錠が外れていた。 放心状態の鋭二には何が起きたかわからない…。 「ふふ。鋭二くん。頼まれて、助けに来たよ。」 目の前で妖艶に笑っているのは、早崎アリサ。 この事態が嘘であるかのように、彼女は美しい。 アリサを見た瞬間、鋭二の目の色が変わった。 「……あ゙っ」 鋭二は無言でアリサの首をしめた。 アリサは両手でそれを引きはなそうともがいている。 「……」 鋭二は無心で首をしめ続けた。 「鋭、二く、ん。孝太が、ね…え」 「孝太が、ねぇ、」 ごめんねだって。 …………… ………………… バキッ! アリサを殴る音が響いた。 「は……バカかお前ら。 ふざけんのもいい加減にしろよ!!麻は……麻は……」 鋭二に抱き抱えられ、眠り続ける麻美。 麻美の最後の願いを、鋭二は忘れていなかった。 『生きて』 「…麻。」 鋭二は、アリサを取り残して室内を飛び出した。 両腕には、麻美を抱えていた。
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