逃走

22/25
前へ
/274ページ
次へ
「ハハ…。俺も嘘つきだな…」 目の前にいる麻が、霞んで見えた。 麻の髪を撫でながら微笑みかけた。 「ねぇ…俺… もうダメみたい。」 「……」 麻は何も言わない。 何も言わないで…… 微笑んでいた。 「………………」 突然、今までのことがよみがえった── ──ねえ鋭二。私、鋭二と付き合えてよかった── ──ずっと一緒にいたい── ──ずっと── ──ずっと── ──天国へ行っても──。 「当たり前だろ…」 死んでも 死んでも離さねぇよ 「これからはずっと一緒にいような……」 俺は麻に口づけをした。         誰にも邪魔させないから 一緒にいような──            
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3554人が本棚に入れています
本棚に追加