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そのとき──…
「鋭二……!!」
確かに俺を呼ぶ、麻の声がした。
「……!?」
振り返るとそこには……
麻がいた。
「あ……麻…?」
麻は微笑み俺を見つめている。
「な……んで……」
「鋭二がここに来るのが見えたから……」
麻は綺麗で、陶器のように肌が白かった。
……まさか…
「幻覚じゃねぇよな…?」
俺はそう言って麻の大きな胸に触れた。
「あんた……何してんの…?」
パァン!!
麻の平手が俺の頬に命中した。
……痛くて更に涙が出た。
「幻覚なわけないでしょ!!人を勝手に殺さないでくれる…?
だいたい、何なの?3日も意識が無いなんて…どれだけ心配させれば……っ!?」
──俺は麻を抱きしめた。
「ちょっと鋭二!苦しいよ…!」
「ありがとう」
「!!」
──生きててくれて
本当にありがとう──…。
…俺は大量に涙を流しながら麻をきつく抱きしめた。
麻も俺の肩に手を伸ばして言った。
「私も……ありがとう」
俺たちはしばらくの間そうして泣いていた。
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