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家に帰っても、ただ泣くことしかできなかった。
泣いてる自分が惨めに思えて、更に泣きたくなる。
俺、純一さんに気に入らないようなことしたのかな?
そんなことしてたのなら、俺は鈍感だ。
馬鹿だ。阿呆だ。
何度も涙を拭っても、涙は止められない。
不満があるなら言ってくれればいいのに。
俺、絶対直すよ?
純一さんが望むような人間になりたい。
でも、今の純一さんはどう思ってるの?
純一さんの気持ちを教えてよ──
そのまんま寝てしまったみたいだ。
部屋のカーテンの隙間から光が射し込んでいる。
もう…朝か…
昨日泣いたせいで、目が凄く痛い。
風呂すら入ってないので、シャワーを浴びることにした。
着ていたシャツを脱ぐと、あまりの寒さにくしゃみをしてしまった。
「へっくしっ!」
布団かけないで寝ちゃったからかなあ…
しかも薄着だったし。
風呂場に入り、シャワーのコックを捻った。
頭上から冷たい水がザーッと降ってきた。
「冷たっ」
身震いをして、両手で二の腕を擦った。
冷たい水が雨のようで、テレビでよくあるシーンみたいに思えた。
雨で連想できるシーンといったら恋人との別れだ。
恋人との…別れ……
また悪く考えちゃった。馬鹿だなあ。
忘れたくても忘れられない、あの紙の内容。
頭を掻きむしって、忘れたいと一心に願った。
どうして明るい方向に考えられないんだろう…
ようやく温水が出てきた。
体を洗いながら、純一さんのことを思い浮かべた。
ねえ、純一さん…
俺、純一さんと居たい。
純一さんと話がしたい。
純一さん、会いたいよ…
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