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まるで誘拐された子供のように車に突っ込まれ、そのまま車は出発した。
だから記者会見って何なんだよ~;;
「純一さん、何の会見なんですか?ねえ!」
純一さんの上着の袖をぎゅっと掴んで言った。
「うるせえ、俺に話し掛けんな。イライラしてんだよ」
俺の手を払いのけ、また怒鳴った。
本当に純一さんが怖い……
会見の場所に着くまで純一さんとはこれ以上口をきかなかった。
十数分くらい経って、お高いホテルに着いた。
会場に使われる大広間をチラッと見ると、意外にも報道陣が並んでいた。
近くにいたスタッフに呼び止められ、俺達は軽くメイクをされた。
メイク室に使われていた部屋にはOZMAさんと精吾さんがスタンバイをしていた。
何でここに精吾さん…?
「ちょっとばかし遅いんじゃねーの?」
OZMAさん金ピカの腕時計をコンコンと軽く叩いた。
「まっさか、また2人でラブラブしてたとか?」
上目遣いでOZMAさんは純一さんをからかった。
今の純一さんにそんなこと言っちゃ怒っちゃうよ…!
俺の予想通り、純一さんは鋭い目付きでキッとOZMAさんを睨んだ。
「あ?OZMAよらあんま調子乗ってんじゃねえよ」
「わーKINGが怒った怒った」
完全に馬鹿にした態度でOZMAさんは純一さんが怒っていても、何ともないみたいだ。
精吾さんは元から無口なタイプなので、ただ2人を見ているだけだった。
もう、早く会見の内容が知りたいし、2人がケンカになる前にやっちゃってよ!
「DJOZMA様方、会場の準備が出来ましたのでお入り下さい」
『はーい』
会場に入って真っ直ぐのところにステージがあり、上には大きな看板が吊るされていた。
俺は視力が弱いのでコンタクトを付けているけど、これでもぼんやりとしか見えない。
え…何て書いてる…?
不思議に思いながら立ち止まっていると、純一さんから押された。
「わっ」
つまずきそうになりながらもステージへ上がり、4人はフラッシュライトを浴びた。
OZMAさんがマイクを取り、純一さんは俺の肩に手を乗せた。
こんな些細なことをしてくれるだけで嬉しい。
「えーこれから私、DJOZMAの引退会見を始めたいと思います」
何かの間違いでしょ?
OZMAさんが引退だなんて…
OZMAさんが話しているときに、純一さんの手が俺の肩を力強く掴んだ。
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