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「目が覚めたか」
目の前には、
天使さんがいた。
ゆっくりと体を起こす。
手を見つめながら何度も開閉して、自分の体に目をやった。
ワンピースの胸の中央には斬られた穴が残っていて、その周りにはべっとりと赤黒い染料がついている。
でも体に傷はなかった。
「…………わたし、生きてる?」
天使さんは溜め息をつきながら小刀を背に回し、どこかへしまう。
私を横目で見ながら愚痴を言うように呟いた。
「私は確かに刺したのだが。まさか不死とはな、私は全く聞いていないぞ?」
にやりと口の端で笑う。
…………確信犯?
じゃなくて、えっと。
あれ?
「まさか天使って、不死を殺せたり出来ないんですか? ほら、どかーんばこーんと不思議アイテムで」
「出来るわけないだろうが」
即答されてしまった。
つまり、わたしの早とちり?
あれだけ最後の別れっぽいことをやっておいて、実は死ねませんでしたというオチ?
………………。
頭を抱えて、悶える。
「うああ、すごく恥ずかしい気がする……ひゃあああっ、ちょっと死にたいっ」
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