約束

9/11
前へ
/55ページ
次へ
  「………………」 わたしは、ずっと独りだと思っていた。 でも本当はわたしを心配してくれる人がいて。 助けてくれる人がいて。 悲しんでくれる人がいて。 わたしは、誰かに必要とされているのだろうか。 わたしは……生きててもいいんだろうか。 「天使さんも、心配してくれますか?」 彼は少し驚いたような表情に変わって、顔を背けてしまった。 「…………それは先ほど答えてやっただろうが」 小声でささやかれた返答に、わたしは何だか嬉しくなってしまう。 「わたしが死んだら、悲しんでくれますか? 泣いて、くれますか?」 調子に乗って質問すると彼は不機嫌な様子になった。 「知らん」 なんでだろう。 それは誤魔化す時の台詞だと勘付いてしまったせいか、わたしはとても嬉しくなってしまう。 「天使さん、わたし生きます」 約束したから。 それがお父さんとお母さんの願いなら、わたしはそれを守りたい。 今は辛くても、いつかきっと良い事がある。 そう思って、生きていく。 「だから天使さん、わたしに魔力の制御を教えてください」  
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加