225人が本棚に入れています
本棚に追加
「またいつか、いつかでいいから、会いに来てくれるって……約束してくれますか?」
天使さんは呆気にとられて、黙ってわたしの小指を見つめている。
しばらくそのままだった彼は、やがて優しい顔で微笑んだ。
自分の小指を、わたしの小指に絡ませる。
「いいだろう。何年先になるかはわからんが」
「何年でも待ちます。だから、きっとですよ」
何年先でも構わない。
また会えるなら、またこうして話せるなら、きっと待てる。
ずっとその為に、生きていられる。
「絶対、守ってくださいね」
「おまえこそ忘れるなよ?」
小指が離れる。
彼はわたしから遠ざかるように数歩後退して、東の空を見た。
――――日の出だ。
空から光が溢れ出してくる。
とても、眩しかった。
天使さんへと、視線を戻す。
「…………天使さん?」
立ち上がって、駆け寄る。
そこに立っていたはずの彼が、いない。
まるで最初から誰もいなかったかのように。
地面を見回して、それを見つけた。
白く輝く、純白の羽根。
天使の羽根。
最初のコメントを投稿しよう!