225人が本棚に入れています
本棚に追加
そうだ。
今日はクッキーを焼いて来たんだった。
鞄の中からクッキーの包みと魔法瓶を取り出して、先生へ示す。
「あの、安藤先生。クッキーを焼いたんですけど良かったらみんなでどうぞ」
「まあ、本当? エルミちゃんの料理は美味しくって大好きよぅ」
とても嬉しそうにしてくれる先生の反応が、とても嬉しい。
包みを開いて机に置き、紙コップを取り出して魔法瓶の中身を注ぐ。
最近寒くなってきたからホットチョコレートを作ってみたんだ。
人に振る舞うのは初めてだけど、評判が良ければまた作ってみよう。
手渡そうとしたら、二人共もうクッキーを頬張っていた。
「おいしー! やっぱりルーちゃんは料理の天才だね」
「お菓子も上達してきたみたいねぇ、本当に美味しいわぁ」
好評なようで良かった。
前は失敗してちょっと焦がしちゃったし。
ホットチョコレートを受け取った安藤先生は、それを口に含んで一息つく。
毎回緊張するこの瞬間。
「これもすごく美味しいわよぅ。イアスに呪い殺されそうなくらい」
「従兄弟さん……じゃなくて、安藤先生。そのたとえはよくわかりません……」
最初のコメントを投稿しよう!