幸せ

4/5
前へ
/55ページ
次へ
  そうだ。 今日はクッキーを焼いて来たんだった。 鞄の中からクッキーの包みと魔法瓶を取り出して、先生へ示す。 「あの、安藤先生。クッキーを焼いたんですけど良かったらみんなでどうぞ」 「まあ、本当? エルミちゃんの料理は美味しくって大好きよぅ」 とても嬉しそうにしてくれる先生の反応が、とても嬉しい。 包みを開いて机に置き、紙コップを取り出して魔法瓶の中身を注ぐ。 最近寒くなってきたからホットチョコレートを作ってみたんだ。 人に振る舞うのは初めてだけど、評判が良ければまた作ってみよう。 手渡そうとしたら、二人共もうクッキーを頬張っていた。 「おいしー! やっぱりルーちゃんは料理の天才だね」 「お菓子も上達してきたみたいねぇ、本当に美味しいわぁ」 好評なようで良かった。 前は失敗してちょっと焦がしちゃったし。 ホットチョコレートを受け取った安藤先生は、それを口に含んで一息つく。 毎回緊張するこの瞬間。 「これもすごく美味しいわよぅ。イアスに呪い殺されそうなくらい」 「従兄弟さん……じゃなくて、安藤先生。そのたとえはよくわかりません……」  
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加