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「お疲れ様っ。はいっ、これタオルです!」
青い空。白い雲。
まだ少し肌寒い空気の中、体操服姿の暁は部員たちの隙間を白いタオルを持って走り回っていた。
いつもならばまだ夢の中にいる時間のはずなのに何故暁がこのような事をしているかといえば、もちろん原因は昨日の事件に関係しているわけで…。
「はあっ、なんか喉渇いたな」
部員の一人がポツリと呟けば、
直ぐさまベンチに駆けていった暁は、大きなペットボトルに入っている麦茶を、並べてあったいくつかの真っ白なコップに注ぎ入れそれをトレイに載せて運んでいく。
「どうぞ、麦茶です」
コップを手渡された部員は、慌ただしく他のチームメイトの元へ走っていく暁の後ろ姿を唖然としながら見つめた。
「マネージャーがマネージャーの仕事をしてる……」
普段の暁を知っている者ならば誰もが口にしてしまう言葉。
有り得ない。
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