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一年生にほとんど仕事を押し付けている暁が、
お昼ご飯をサッカー部員にたかる暁が、
朝練は遅刻やサボりが当たり前の暁が、
誰よりもサッカー馬鹿なあの暁が、
自ら進んでマネージャーの仕事をしているなんて!
「最後に一ゲームするけど、宗方も参加するだろ?」
一人の言葉に部員総勢が暁に注目する。
いつもなら聞かずとも飛び込んでくる暁だが、なにやら雰囲気が違う今日ははたしてどうだろうか?
期待に満ちた多くの瞳が暁を捕らえる。
皆の期待通り、暁の心はもちろん“Yes”
しかし
「えっと、その、プレイしたいのは山々なんだけど…」
「宗方さん?」
もごもごと口ごもる暁の言葉を遮り、よく通る声が彼らの間に響く。
ハッとした暁が振り向くと、いつものスーツとは違い白いTシャツにブラックのジャージを穿いた里玖がすぐ後ろに立っていた。
「すみません、皆さん。宗方さんは少しの間借りていきますので、試合は部員たちだけで行って頂けますか?」
言うが早いか、里玖は暁の腕を掴むとズンズン部室の方へ歩いていく。
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