序章

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ブツッ… 肉を切り裂かれる音なんて初めて聞いた。 数秒後、切り裂かれた腕が、鼓動につれて跳ね上がる痛みを出してくる。 腕から血を垂れ流しながら、痛みに顔を歪め嗚咽混じりに泣き叫ぶ私。 私は、彼から離れようと、壁伝いに走る。しかし、直ぐに行き場が無くなる。 一歩、また一歩と彼が近づく度に、私は叫ぶ。 彼が変に引きつった微笑みを見せる。 彼は、目ので立ち止まり、灘を振り上げ「ふふッ」そう奇妙な笑い声を出し笑う。 引きつった笑顔。 灘が振り下ろされた刹那、彼と目が合う。 いつもと違い、怖い程の笑顔。 「ヒッ━━━」そう小さく声を上げ、顔を背ける。 直後、ひゅん━と音がし、ブツッンと首元の肉が裂かれた。 ビュッと首元から血が吹き出す。 血だらけの私は、口を開けて彼に呟こうとしたが、気管を深くまで切り裂かれていたらだろう。言葉になっていなかった。 「どうして…?」 私はそう、声にならない声で呟いた。
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