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「凌!」
やっと声が出た。
…夢か。
目の淵を冷たいモノが伝っていった。
涙。
…また……。
頭に靄がかかっているみたいで、しばらくは意識がはっきりしなかった。
何度も同じ夢を見ているのに、一度も私は凌を止めることができていない。
周りの景色がようやく目に入ってきた。
私は知らない部屋にいた。
慌てて体を起こした。
服は…制服のままだ。
広いとは言えない部屋に必要最低限の家具が並べてある。
この景色は殺風景ともいえる。
次の瞬間気が付いた。ここはあの男の部屋だ。
何故?
ドアが開いて男が入ってきた。やっぱり、あの男、『リョウ』だった。
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