2.雨の記憶

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「凌!」 やっと声が出た。 …夢か。 目の淵を冷たいモノが伝っていった。 涙。 …また……。 頭に靄がかかっているみたいで、しばらくは意識がはっきりしなかった。 何度も同じ夢を見ているのに、一度も私は凌を止めることができていない。 周りの景色がようやく目に入ってきた。 私は知らない部屋にいた。 慌てて体を起こした。 服は…制服のままだ。 広いとは言えない部屋に必要最低限の家具が並べてある。 この景色は殺風景ともいえる。 次の瞬間気が付いた。ここはあの男の部屋だ。 何故? ドアが開いて男が入ってきた。やっぱり、あの男、『リョウ』だった。
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